上大岡のやさしい歯医者 : 〒233-0001 横浜市港南区上大岡東2丁目42-22

お電話でのご予約/お問い合わせ

お電話でのご予約/お問い合わせ045-370-7816

上大岡のやさしい歯医者 上大岡にしだ歯科クリニック

症状別一覧音楽歯科

音楽歯科とは

そもそも音楽歯科という分野は実は存在しません。
しかし、私自身も高校時代に楽器を演奏の経験があり、歯科大学の学生になった時から、音楽と歯科との関係を考えるようになりました。
最近だと、スポーツ歯科という分野があるので音楽歯科という分野があってもいいのでは?と感じています。 日本の吹奏楽人口は多く、経験者だけなら10〜15人に一人と言われています。
また、それ以外でもオーケストラ、バンド、ピアノ、これらを合わせるとかなり多くの方が楽器を楽しんでいます。 音楽はどの楽器も生涯にわたって演奏する事ができ、体力の維持、指を動かす事による脳への刺激、奏者同士のコミュニケーションなど、人生を豊かにしてくれるものだと思います。
この音楽というものを生涯楽しんでいただくために、楽器好きとして、歯科医として、皆まさにお手伝いできることがあればと思っております。

音楽からみた歯科との関わり

管楽器

サックス、クラリネット、などシングルリードの楽器オーボエ、
ファゴットなどのダブルリードの楽器トランペット、トロンボーン、バスなどの金管楽器 それぞれ楽器毎にアンブシュア(口の形)が異なり、使う筋肉、力のかかり方が異なってきます。
どの管楽器にも共通するところでいうと、例えば歯周病や、ケガ、虫歯などで前歯を失う事となったら楽器の演奏は可能でしょうか? マーチングバンドの方は楽器同士が接触して痛い思いをした事があるのではないでしょうか?
ずっと吹きなれて、自身で確立されたアンブシュアが変わったら吹けるでしょうか? 矯正の器具があたったら楽器吹けますか? 元々の骨格の傾向と、選ぶ楽器によって、歯並びが悪化もするし、多少改善もされると考えられます。

弦楽器

バイオリン、ビオラなど顎で支える楽器では、演奏者の悩みとして、よく顎が痛くなるとの話を伺います。 ギター、ベースなど、どこみて練習します? かなり上手い人は違うかも知れませんが、ほとんどの人が左の手元をみて弦の場所を確認して、コードを押さえてるのではないでしょうか? その時歯はどうなってますか?当たっていませんか? 顔の向きに寄っても顎の位置が変わるので、顎の関節に付加がかかる事が考えられます。

ピアノ、ドラム

練習するとき、口の中はどうなっていますか?
もちろん力を抜いて演奏できるのが理想ですが、、、早い曲で16符音符、32符音符が続くとき、歯を食いしばってとにかく頑張って練習していませんか?

声楽

声楽をやられている方は、体が楽器と言われますが、本当にそうだと思います。肺からでた空気は声帯で振動し、音となり、それが、口の中の歯などに反響して構音されます。
では突然口が開かなくなったら歌えますか?歌えたとしても響きますか?

このように楽器毎に特性が違い、習慣的な姿勢や練習の方法も変わってきますし、歯科との関わりもそれぞれあります。
私自身もそうでしたが、楽器を演奏している方の練習時間はかなり長くなる事が多いと思います。すると職業病のように肩こり、腱鞘炎、顎関節症など、どこかしらに異常がでてくることがあるかと思います。
毎日練習する楽器だからこそ、いざ本番の時に演奏できないなんて事を防ぐためにも予防することが大切だと思っております。

 

 

歯科疾患からみた音楽との関わり

顎関節症

音楽と関わってくるところで最も多いのは顎関節症です。
なぜなら顎関節に力がかかることが多いからです。
バイオリン、ビオラなど顎関節症のひとつの要因として、頬杖などによって、顎関節が圧迫され、痛みが出る事があります。
バイオリンなどの顎で楽器を常に挟む状態は頬杖などと同じ力がかかりやすくなるので顎関節症を発症しやすくなる可能性が考えられます。

ピアノ、ドラム、ギターなど

顎関節症の要因のなかのTCH、噛み締めなどが関係してきます。TCH,噛み締めなどは、黙々と作業をしていたり、集中しているときなどに歯が接触する事で、これも顎関節症の要因になってきます。また、ギター、ベースなども左手のコードの進行を気にしていると、顔が下を向きます。この顔が下を向いた状態が続くのも顎の位置が変わるので、TCHが起きると考えられます。 これらの楽器では演奏にほとんど影響はでないと思いますので、練習の時だけでもマウスピースを着用する事をお勧めします。

吹奏楽器

吹奏楽のなかでも顎関節症の話を聞きますが、これは吹奏楽をやっている事によって顎関節症が発症するかは微妙なところがあります。 歯ぎしりや食いしばりのように強く噛むと顎関節に炎症がおき、顎関節症になりやすくなりますが、楽器演奏時の筋肉の動きを調べた過去のデータでは咬筋(最も噛む力が出る筋肉)も力が入りますが、同時に、顎二腹筋(口をあける筋肉)にも力が入っているというデータがあります。 これはマウスピースを咥えているので、完全に歯が当たる事はないからだと思われます。となると、歯が浮いているので、顎関節にかかる力もそこまで大きくないと思われます。 楽器が原因で顎関節症になるとしたら、不適切なアンブシュアの問題もあり得るかと思います。

外傷(歯の破折など)

これは音楽というより、スポーツに近い、マーチングバンドで起こりやすいです。
マーチングバンドでは楽器を演奏しながら隊列を組んで演奏を行っていくので、その練習の過程で転んだり、楽器同士が当たって、(楽器の)マウスピースと歯がぶつかったりの可能性があります。
これに関してはボクシング、アメリカンフットボールなどと同様に歯を守るために、練習の時だけでも(歯科用の)マウスピースをした方が良いと考えられます。 本当は歯の防護の為には上下必要ですが、それだと演奏ができないので、一番歯をぶつけやすいのは上の前歯なので、上顎だけでもマウスピースをつくってもいいかもしれません。
ただし、タンギングの時にマウスピースが気になるかもしれないので、調整が必要かと思われます。 当院ではCEREC治療を行っているので、仮に歯が割れてしまった場合も、状態にもよりますが、即日修復できる可能性があります。

歯並び

管楽器の演奏で良くも悪くもなる可能性があります。
管楽器を始める機会として吹奏楽があります。 早い方だと小学校から始める方もいますが、大体の方が中学生くらいから吹奏楽を始める事が多いかと思います。
小児、矯正からみると、小学生、中学生にあがったばかりの時期は噛み合わせがまだしっかり定まっていない時期です。
なので、管楽器の演奏や悪習癖(指しゃぶりなど)などの影響を受けやすい時期でもあります。

Ⅱ級(いわゆる出っ歯)の場合

現在Ⅱ級の方、もしくは両親がⅡ級の傾向にあると、シングルリード(サックス、クラリネット)などの楽器により状態が悪化する可能性があります。
指しゃぶりなどでも悪化しますが、シングルリードの楽器のマウスピースを咥える形が指しゃぶりの力のかかり方が似ているからです。
そのため、吹奏楽の中だったら、シングルリードの楽器よりも、金管などの、楽器の方が向いていると言えます。 金管楽器の場合は、どちらかというと、上の前歯に押し付ける形になるので、多少改善傾向になる可能性があります。
※出っ歯と言っても色々な原因が考えられますので全ての場合で当てはまる訳ではありません。

矯正治療

矯正治療で「ブラケット(矯正で使う金属)をつけて金管楽器の演奏が痛くてできなくて、パーカッションになった」という話をたまに耳にします。 確かにしょうがない事ではありますが、できれば自分がやりたくて始めた楽器続けたいですよね・・・
全てのケースで適応となるわけではありませんがインビザライン(マウスピース矯正)をお勧めします。 なるべく長い間つけないといけないので、練習中もできればつけていただきたいですが、ブラケットなどを使用する事はないので、楽器の演奏はできるかと思いますので検討してみてください。

筋機能療法が必要な場合

バクシネーターメカニズム(唇、頬、舌などの口腔周囲筋の調和)が崩れると、歯並びにも影響してきます。→矯正治療
このような場合通常は舌の運動の為に、スティックを舌で押してみたり、前歯と唇の間にひも付きのボタンをはさみ唇からとれないように引っ張ってみたりします。
もちろん大事なトレーニングですしやった方が良いのですが、、、 これ子供がやって楽しいですかね?
当院の提案としては金管楽器用のマウスピースなどで音を出す方法です。子供って音が出るもの好きですよね。 楽器を始めましょうとか言う事ではないですが、トランペットや、トロンボーンなどのマウスピースだけで音が出ますし、プラスチックの安い物も売っています。
管楽器の経験者はご存知だと思いますが、音を出す為には唇、頬の筋肉などが必要で、音を切る為に舌の動き(タンギング)が必要になるので、遊びの感覚で、口腔周囲筋を鍛えられるのではないかと考えております。

最後に

音楽と歯科との関わりはあまり注目されていませんが、楽器をやっていた身としてはとても関わりが深い分野だと思っています。 ですが、分野としてまだ確立されていないので、今後も患者様を通して、発展させ、楽器を生涯にわたり楽しんでいただけるようにお手伝いさせていただければと思っております。